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【連載 コンサルタントは語る!(4)】

 正木 英昭 氏
マサキ経営 代表
 
1947年横浜市生まれ。東京理科大学工学部機械工学科卒業、日本鋼管株式会社入社重工事業部配属(機械プラントの設計・工務・営業・改善プロジェクトに従事)。
1989年(社)中部産業連盟入職(5S、見える化、現場改善、生産管理、品質管理、設計管理、目標管理、業務改善、ISO9001/14001の指導、各種教育・研修・セミナー講師に従事)。
2006年マサキ経営代表として独立・開業。5S・見える化を中心に、製造業の改善・改革を指導・支援している。
全能連認定マスター・マネジメント・コンサルタント。
■主な著書等
『5S 100の法則』(近代文芸社)
『見える仕事MS 100の法則』(近代文芸社)
『小説・企業改革』(文芸社)
『トヨタ方式で成功する企業改革』(秀和システム)。
『トヨタ方式で仕事も自分も変えられる』(秀和システム)。

ホームページ:http://www.masaki-keiei.jp

「5S」と「見える化」と法則

平成元年41歳のとき、C社の経営コンサルタントに転職しました。それ以来、C社で17年間、独立してから1年間、とぎれることなく一貫して指導・追究してきたテーマが「5S」です。その次の主要テーマが、「見える化」(目で見る管理)です。この2つの、企業の基礎・基盤を形成する改革活動について、のべてみたいと思います。

5S:5Sは、企業規模、業種に関わらず、製造業を中心に、広く深く浸透している活動です。それにもかかわらず、指導のニーズが強い理由について、次のように考えました。
  1. 簡単そうに見えて、実際に徹底させるのは容易ではない:これを、「5Sエントロピーの法則」とよんでいます。つまり秩序あるものは、放っておくと限りなく、ありふれた姿に崩れていきます。いったん築いたつもりの5Sも、毎日崩れていくのです。

  2. 深く追求していくと、経営の根幹にまで行き着く「奥深さ」がある:これを、「5Sアンナ・カレーニナの法則」とよんでいます。つまり成功パターン(幸福)は、どこも似たりよったりですが、失敗する原因(不幸)は各社各様なのです。結局最期は、企業風土・文化、トップの哲学の勝負になります。

  3. 活動の進め方の標準化ができていない:これは、「5S段取八分の法則」です。5Sをキックオフするまでに、推進体制、活動パターン、使用帳票、教育・PRなどの準備に注力します。これで勝負は8割がた決まってしまいます。

    これらの法則・ツボをおさえ、障害要因(ささったトゲ)をとりのぞいていけば、5Sの成功は約束されたようなものです。

見える化:見える化の始祖は、トヨタの大野耐一氏だと思います。「標準作業表」、「アンドン」、「かんばん」などの見える化がトヨタ生産方式を支えています。見える化の指導ニーズが強い理由についても、次のように考えました。
  1. 簡単そうに見えて、実際に見えるようにするのは容易ではない:これを、「見える化抵抗の壁法則」といいます。7つもある抵抗の壁(納得、惰性、無力、勇気、難渋、焦燥、落胆)をのりこえて、職場・仕事の内容を見えるようにするのは、「革命行為」なのかもしれません。

  2. 深く追求していくと、経営の根幹にまで行き着く「奥深さ」がある:これを、「見える化イモズル法則」といいます。見えなければ、闇から闇に消えていく「氷山の一角」現象であっても、ときには、ズルズルたどっていくと、大金鉱脈(宝の山)にたどり着くことがあります。見える化というナビゲーターにより、「毎日革命」も可能となるのです。

  3. 活動の進め方の標準化ができていない:これを、「見える化段取八分の法則」といいます(つまり何事も、初めが肝心、「段取八分」なのです)。社是・経営理念にさかのぼって、その内容が本当に見えている(理解されている)のかどうかから始まり、経営計画、目標管理と下ろしていき、日常的な現場のオペレーションは最終段階です。製造現場だけに見える化の負担をおしつけるやり方では、真の企業改革は達成できません。
    これらの法則・ツボをおさえ、障害要因(ささったトゲ)をとりのぞいていけば、見える化の成功は、やはりまちがいなしです。
5Sと見える化という企業活動の基礎・基盤を確立すれば、その上にありとあらゆる管理・改善活動が花開いていくことでしょう(図1)。成功している製造業は、みな同じように、この成功の方程式(ビジネスモデル)をつくりあげています。今からでもおそくはありません(思い立ったら吉日です)。この基礎・基盤の二重構造をコツコツと築き上げていくことが、企業の長期的利益の源泉となります。またその構築過程から、有能な人材が次々に育っていくことでしょう。(21頁の「成果があがる!ものづくり現場の仕事の『見える化』」をご受講下さい。)

図1:5Sと見える化は、企業の基礎・基盤を形成する
図1:5Sと見える化は、企業の基礎・基盤を形成する


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