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2005.03【特集記事−本誌編集部より−】
ポカミスをどう退治するか!
改善技術研究所 所長 竹内 均 

 

1.ポカミスの種類と発生メカニズム

1)不良をつくる5つの要素

2)不良のワースト10は?
  1. 加工忘れ
  2. 加工ミス
  3. ワークセットミス
  4. 欠品
  5. 異品混入
  6. ワーク違い
  7. 誤動作
  8. 調整ミス
  9. 段取りミス
  10. 治具不良
3)ミスの種類

不良の原因のほとんどが人のミスです。
  1. ウッカリミス
    • ウッカリしていたり、忘れたりして起きるミス。
    • 遮断機の降ろし忘れ。(事前確認、定期確認、呼称確認)

  2. ガッテンミス
    • 気が早かったり、勘違いが引き起こすミス。
    • ノークラの車で、クラッチのつもりでブレーキを踏む。(打合せ、事前確認、標準作業)

  3. チラミス
    • 見落としたり、チラッと見ただけで間違えるミス。
    • 千円札と五千円札の見間違え。(打合せ、注意)

  4. アマミス
    • 知らない仕事や生半可な仕事ナド、アマチュア的なやり方で犯すミス。
    • うろ覚えでの作業で失敗。(熟練、標準作業)

  5. カッテミス
    • この程度ならかまわないと、勝手に決め込んでルールを無視するミス。
    • 電車のキセル、みんなで渡る赤信号。(基礎教育、躾、習慣)

  6. ポカミス
    • 自分でも、どうしてこうなったかわからないような、ポカーッとして発生するミス。
    • 赤信号なのにトコトコ歩いて行く。(注意、規律、標準作業)

  7. ニブミス
    • 判断の遅れにより、反応や動作がニブッてしまい発生したミス。
    • 初心者マークをつけた車のブレーキ踏み遅れ。(熟練、標準作業)

  8. パナシミス
    • 適切な指示も、標準作業もなく、作業者にまかせっパナシで起こるミス。
    • 管理、統制のない現場は不良の宝庫。(標準作業、作業指示)

  9. アレミス
    • 予期した動きをしないで、「アレ?」と思わせるミス。
    • 機械の誤動作。(トータルPM、標準作業)

  10. ワザミス
    • ワザと犯すミス。
    • 犯罪。(基礎教育、躾)

2.まず、ポカミスクレームの再発防止を

1)暫定対策のままで終わるな
  1. 再発防止書と現状のちがい。
  2. マーキングは流出防止の暫定対策であり、効果時間は20分間。

2)DRを上手に活用する

図1 A社のDR内容


3.ポカミス防止手順

手順1.ポカミスヒヤリマップの作成

選ぶ、さがす、仮置き、製品不良、設備不良、人間不良、をチェック。

手順2.マニュアルを作らない。現場に貼らないオペレーターの責任にしない。

マニュアルを作って終わる管理者。
マニュアルを作ると不良がなくなると勘違いする管理者。
作業手順書は、作業台の上に貼らなければいけないと思い込んでいる管理者。
不良が発生するとオペレーターのせいにする管理者。

手順3.サイクルタイムの定義付け

時間のバラツキ。ものつくりにリズムがあるかどうか、現場を見る。
リズムが崩れるとポカミスが発生する環境になる。

手順4.工程設計の見直し


図2 1個造り用工程ばらし手順


図3 設計不良を入れない、造らない、出さないしくみづくり


手順5.4Standerd設計

仮置き防止のため、物の置き方4Sを徹底する。
  1. 物の置き場所を決める。
  2. 何を置くか決める。
  3. 置く量を決める。
  4. 置く順序を決める。
  5. 定位置停止ルールを決める。

手順6.ポカミス対策はメカで行う

  1. 治具化。
  2. スイッチ等の信号発信。
  3. 設備の回路と(2)を接続。
  4. 前工程の設備回路と3.を接続しAND回路を組む。


手順7.工場からペンを取り、情報をつなぐ

記入時、ものから手や目が離れる。

4.ポカミス1つなくせない管理者は現場から去れ

管理者の条件
  1. 現場を見て正常と異常の判断ができる。
  2. 異常を正常に戻す処置をすぐ実施できる。
  3. オペレーターの健康状態を常に把握している。
  4. 部下育成能力がある。
  5. 自己革新能力がある。
  6. 製造業としてのあるべき姿を常にイメージしている。
  7. 日常業務と改善業務、各20項目が常に貯金されている。
  8. 「オペレーターはラインを止めよ。管理・監督者はラインを止めるな」の意味が理解できる。
  9. 部下のミスは管理者である自分の責任である。
  10. 事後処理から事前管理のポカミス対策をする。


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