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2003.01【特集記事−本誌編集部より−】
エクセレントカンパニーへシフトアップを
−ISO9000:2000でめざす品質経営−

 
IS09000の94年版の2000年版への切り替え猶予期限が本年12月でいよいよ切れる。準備を怠りなく進めているところ、様子見のところ、これを機に自己適合宣言に切り替えるところと、企業の対応はさまざまである。lS09000については文書管理の煩雑さや「記録」のみが取り上げられ、経営に貢献しない、品質向上に役立たないといった批判もあったが、上手に活用することで (1)社内の風通しがよくなった(電子機器メーカー) (2)活性化を図った(運輸) (3)これを基に人事考課制度などを再構築(サービス)といったメリットも多い。2000版への変更点を紹介する。

●経営責任を明確にせよ

 2000版での大きな変更は「経営者の責任」を明確にしたことと「顧客満足」、そして「継続的改善」であるが、なかでも経営者の責任は「経営者のコミットメント」として方針管理規定で入れ込む必要がある。
「どこをどう直すかがすぐわかる!ISO9000:2000年改正用追加変更見本」では


「トップマネジメントは、品質マネジメントシステムの構築及び実施ならびにその有効性を継続的に改善することに対するコミットメントの証拠を次の事項によって示すこと。
  1. 法令・規制要求事項を満たすことは当然のこととして、顧客要求事項を満たすことの重要性を組織内に周知する。
  2. 品質方針及び品質目標を設定する
  3. 品質目標が設定されることを確実にする
  4. マネジメント・レビューを実施する
  5. 資源が使用できることを確実にする

をそのまま挿入するとしている。コミットメントつまり必達目標として経営者が積極的に品質管理に関与し、また、リーダーシップをとることを明確化しているのである。
 これは別にISO9000:2000だから経営者が責任を明確にしなくてはならないというものではない。
 昨年は多くの企業で不祥事があり、トップが「えっ、そうだったの」と記者発表の席上で確認をしたり、「現場がやっていたことで知りませんでした」などの無責任発言があったりしたが、これでは職務怠慢のそしりを免れない。企業であれば自社の製品、サービスに対してトップが最終的な責任を持つことは当然である。これを改めて明確にしただけである。

●品質方針はどのように決定するのか

 では、ここで出てくる「品質方針」「品質目標」とは何だろうか。
 執行責任を持つ供給側の経営者は品質方針を定め、文書にすること、そして品質方針には品質に関する目標及び品質に対する責務を含むこととしている。
 たとえば、品質目標として前述マニアルでは


業務改善
信頼性の向上
原価低減
納期確保
クレーム削減

を上げ、それぞれに具体的な数値目標をあげている。つまり、その達成度が「計れる」ものでなくてはならないのである。信頼性向上においては新製品の寿命の向上30%、原価低減3年間で30%、返品クレームを3年間で80%減など、数値目標が必要になる。数字は当たり前だが、企業ごとに違うが、「計れる」という点では一致する。
 これは当然で「締め切りのない仕事は仕事ではない」のと同様、目標とする数値がなければ、そこへの努力もなければ、何を基準にどう改善するのかも分からない。ことにこれは経営サイドが示すものであるから、トップが漠然と「業務改善をしよう」といったのでは指示とならない。
 ところで、ここであげられた5つの項目はそれぞれが常に行わなくてはならない「改善活動」であることがお分かりいただけると思う。いずれも当社セミナーのテーマとして常に上がるものであり、また、人気のある講座でもある。つまり永遠の課題なのだ。であれば、ISO9000があってもなくてもやらなくてはならないことである。とすれば、ISOシステムに組み込みながら、こうした改善を行うことは一つの企業戦略のあり方である。「こういう方針でやるよ」というトップの意思を強く打ち出し、そのトップの期待に応えていける現場であること、トップとの連携を密にし、フレキシブルに対応できる人と企業風土をつくること。これができる企業は強い。

●切り替えを機にジャストマネジメントシステム構築を

「2000年版切り替えで大変だ。コミットメントとはなんだ?トップはどのように考えるの?」という事務局や品質保証部の方々の心理的なあせりやプレッシャーはわからなくもないが、94年版で行った活動や作成した文書、また企業体質は決してムダにならない。また、内部監査のやり方がガラリと変わるわけでもない。「いままで取り組んでいたところの方が絶対にやりやすい」(阪本三郎氏)との証言もある。
 むしろ、94年版で薄かった経営とのつながりを意識し、2000年版を活用し、よりよい品質マネジメントシステムを構築し、「品質経営」ヘシフトすることを考えることが重要であろう。広義の品質は顧客満足の一歩であり、すべてである。
 当社でもISO 9000:2000対応セミナーはもちろん、品質目標を達成するためのセミナー、マニアルを用意し、万全のバックアップをしていく所存である。

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 本塙は「どこをどう直すかがすぐわかる!ISO 9000:2000年改正用追加変更見本」(監修・阪本三郎氏、9,800円)を参考にテクノビジョン用に書き起こしたものです。


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