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2002.11【特集記事−本誌編集部より−】
品質マネジメントシステム8つのポイント
顧客の期待を超えよ ! !

 
ISO 9000の2000年の解説においてはマネジメントシステムの確立、継続的改善、そして顧客満足が取り上げられることが多い。
いずれも2000年版になったから、やらなくてはならないものではなく、それ以前から取り組んでいてしかるべきものである。だが、規格のなかで厳密に定義され、さらに「外部の目」(審査機関)が入ることで、客観性が確保されるというメリットが出てくる。
組織の品質マネジメントシステムを継続的に改善し、長期的な視野で顧客満足及び利害関係者の満足を達成する仕組みを開発し、運営するための基本的な考え方及びルールは
  1. 顧客重視
  2. リーダーシップ
  3. 全員参加
  4. プロセスアプローチ
  5. システムアプローチ
  6. 継続的改善
  7. 事実に基づく意思決定
  8. 供給者との相恵関係
の8ポイントである。

顧客満足は言わずとしれたこと。バブル華やかなりし頃にも「CS」という言葉が流行した。顧客の要求事項を実現することがビジネスであり、コアコンピタンスに直結するものだ。逆にこの部分を置き去りにしては存続さえ危ういものとなる。直接顧客のニーズと期待を結びつけ、期待を超えるように努力することが原則である。「顧客満足」は顧客の要求仕様そのままではなく、それを超えたところに存在する。
リーダーシップと全員参加は表裏一体をなすものである。日本型経営、マネジメントのよさとして、全員参加のボトムアップ的な改善活動があったが、これに強力で的を射たリーダーシップが加わることで、格段に改革スピードが上がる。リーダーたるもの、組織の目的を達することに参画できる環境を創り出し、ビジョンを確立していかなくてはならない。

一方で、顧客の価値創造に焦点を当て、アウトプットの質を最高にするためには1工程だけ不良ゼロを達成しても、トータルでの品質は向上しない。ステップとしてはネック工程を改善し、次のネック改善と連続させるため、一歩ずつの改善になるが、全員がベクトルを合わせてステップアップする。また、そうできるよう個人への権限委譲も積極的に行わなくてはならない。
そして、品質システムの構築においてはプロセスアプローチ、システムアプローチが重要になる。

関連する経営資源と活動が一つのプロセスとして運営される、つまり一連の流れとしてとらえられるようになることで、望ましい結果が効率的に達成できる。
さらに企業活動は継続性が問われる。発展形態は生業(その日の売上を追求)、家業(次世代への継承)、企業(社会的存在)とされるが、継続性なくしては企業といえない。企業が存在するためには「継続的改善」が必要である。そのためには予防を基本とし、改善を促し、トレースするための尺度と目標を策定し、適切な教育訓練が必要だ。
また、この「継続性」を支えるのは(8)のビジネスパートナーとの協力関係であり、互いに切磋琢磨することで、より付加価値の高い商品を提供できるようになる。
この過程では中長期的な視野で、バランスの取れた供給者との協力関係の確立を計画しなくてはならないだろう。
いい意味での顧客からの期待への裏切り--「あの会社がここまでやってくれるとは思わなかった」--はマネジメントシステムが機能してこそ得られる。



本稿は「ISO 9000:2000年版対応 マネジメント・プロセスアプローチと品質計画書見本」〔阪本三郎編著・CD-ROM版 (29,600円)CD-ROM+打出し見本 (39,600円)〕をもとにテクノビジョン用に書き起こしたものです。


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