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2002.07【特集記事−本誌編集部より−】
ISOをマネジメントツールとして使いこなす

 
ISO 9000:2000へのシフトが課題になっている。2003年12月までに取得済みになるためには現時点ですでに方針を定め、そのターゲットに向かって進んでいなくてはならない。ISO 14000やOHSAS 18000を含めて統合化を目指すのか、自己宣言するのか、9000のみで取得するのか。ISOには「取得してもクレームが減らない」「受注は増えない」といった声もある。だが、取得するだけで何かが変わるものではない。自動車の運転方法を知っていても、実際に運転できないのと同様、マネジメントツールとして認識し、使いこなさなくては次のステップが見えないのである。

●ISOで社内マネジメントシステムを構築する

ISOのメリットはなんといっても社内業務の透明化であろう。「誰がどういう手順で何を使って作るのか」が明確になるため、社内のブラックボックスがなくなる。「そのやり方よりもこうしたほうがいいのではないか」といった改善提案もしやすくなる。
一方、トップも常にスピーディな意思決定を迫られ、それを実行に移すことが求められる。良質な商品、サービスを提供していくためには何をしなくてはならないか、どうすればできるか。そのために何をしなくてはならないのか。
特に2000年版になって、ISO9001ではトップのコミットメントを明確にし、それがインプットとなり、アウトプットとして品質保証があるが、これはISOシステムをより経営に役立てられるようにしたのである。「トップのつらさ」も出てくる。
こうしたシステムが整えば、従業員のモラールもアップしてくる。活性化に結びついた例も少なくない。認証取得の活動をしていく中で、コミュニケーションがとれ、ISOという共通言語でディスカッションができるようになったことを成果にあげる事務局もある。これが継続的な改善の下地であり、ここから大きな改善成果がでてくることになる。内部監査にしても、こうしたベースがなければ、スムーズな監査は難しい。
さらにトップダウンとボトムアップの融合ができれば、経営者が考えているアイデアを形にしていくことが容易にできる仕組みが出来上がる。

●合理的に進めるために

取得の目的が何であれ、取得を目指したからには、そして取得をしたからには上手に使いこなし、企業活動に役立て、また経営に組み込まなくては意味がない。そのためにはシステムを常にスパイラルアップさせていく必要がある。
このときに重要なのが、内部監査員である。自社の業務を知っているのは自社の社員が一番だからだ。
「何を不具合として指摘したらよいかポイントが分からない」「気恥ずかしい」「他部門が何をどうしているかよく分からないので、指摘するべき個所を見逃していそうである」といった不安の声を耳にするが、慣れてくると自然に目が養われる。内部監査は改善の第一歩であり、ここは手を抜くわけにはいかない。だが、体系だったセミナーや書籍を上手に活用することで、人材育成は効率的に行えるはずである。
一方、事務局のわずらわしさを軽減するには文書の電子化や先例としての見本を活用する。
ちなみに統合化も工数削減では大きなポイントである。9000、14000、18000の共通部分は実に「規格要求事項の約50%」(ISO 9000:2000,ISO 14000,OHSAS 18000統合トータル(T)ISOマネジメントシステム )にも上る。とすれば、これを一気に取得するべく、改正をチャンスにするの一つの有効な選択であるといえよう。

図をクリックすると拡大表示されます

イタリック体の(1)〜(6)は、文書化を要求されている「6つの手順」
「ISO 9000:2000、ISO 14000、OHSAS 18000統合トータル(T)ISOマネジメントシステム」より


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