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2000.07【特集記事−本誌編集部より−】
ビジネスモデル特許戦略


 

1.ビジネスモデル特許とは

今までは、” Web は特許にならない”といわれておりましたが、1997年のState Street Bank & Trust Co. v. Signature Financial Group, Inc訴訟の判決以来、ビジネスモデル特許として成立して注目されるようになりました。
その定義は、
「インターネット等の情報システムを使って実現したビジネスの仕組みについて与えられる特許」
「革新的な事業の手法と通信やデータ処理技術を結びつけたもの」
といわれております。
判断基準として、重要なのは「新規性」、「進歩性」などの特許性です。
しかし、実際の申請は「情報システム」を使っていないもの、「革新的な事業手法」とはいえないものが、ビジネスモデル特許として成立しているなど、未だにはっきりと定義するのは難しいのが現状です。

2.ビジネスモデル特許の事例

それでは、どのようなものが、ビジネスモデル特許と呼ばれているのか。2、3事例をご紹介いたしましょう。
(1)仮想口座を使った入金照合サービス(住友銀行)
請求先と入金先との照合事務について、請求先ごとに別々の口座番号を用意することにより、入金照合を実現し、経理事務コストを削減するサービス。

(2)広告情報の供給方法およびその登録方法(凸版印刷)マピオン
コンピュータシステムによる広告情報の供給 広告依頼者から、広告情報(店名、住所、電話番号、最寄駅、業種、名称、営業時間、写真、イラスト等の他に文字情報を掲載)をマピオンに登録することにより、依頼者の店を地図上に特定する。 一方、マピオンの利用者は、地図上に表示された広告依頼者の店を指定し、広告情報をみることができる。

(3)ワンクリック特許(アマゾン・ドット・コム)
米大手オンライン書籍販売のアマゾン・ドット・コムにより開発された「ワンクリック技術」は、顧客がオンラインショッピングをする際に、顧客名、クレジットカード番号、住所等を一度入力すれば、次からは再度入力しなくても、クリック1回だけで、取引決済が完了するというソフトウェアについての特許。

3.ビジネスモデル特許の重要性

特許権は通常、独占排他的に業を行うことができるため、特許取得企業がこの特許権の権利行使を行うと、事実上、その特許を利用することができなくなるか、または特許取得企業からライセンス契約を結びライセンス料を払って使用することになります。
しかし、ビジネスモデル特許の場合は、前述にも述べたように、「新規性」、「進歩性」などの特許性が重要視されるとはいえ、現実には、定義が確立されていないため、意外な特許が認められるということが少なくありません。
したがって、企業にとっては、他の企業に特許権の権利行使をされ、e-ビジネスに対しての制限を受けたり、ライセンス料を払わなければならなくなっては大変と、ビジネスモデル特許の取得に奔走しているわけです。
特に、21世紀は、e-ビジネスの成否が企業存続の分水嶺になるわけですから、注目されるわけです。

4.ビジネスモデル特許戦略

e−ビジネスを行う上で、ビジネスモデル特許は、切り離せない必須項目なのです。したがって、ビジネスモデル特許戦略が、21世紀の企業戦略の中心になってくることは、間違いありません。
昨年末あたりから、ビジネスモデル特許の提案書提出を業務として義務化(ノルマ化)している企業の増加や、企業内に、専門のビジネスモデル特許取得チームを置くと同時に、担当者の育成に力を入れている企業も増えております。
このビジネスモデル特許戦略には、2つの側面があります。1つは、従来通りの新しい特許発明に対しての特許出願と、2つ目は、従来の事業であっても、業務をインターネットやコンピュータに置きかえることによりビジネスモデル特許の対象になるため、他社が取得する前に、ビジネスモデル特許として、申請する場合があります。
発明提案から出願完了までの手順、権利化後の対応、権利侵害を回避するための方法、ビジネスモデル特許最新動向など押さえておかなければならない点がたくさんあります。 これらのビジネスモデル特許戦略に対応するために、企画されたのが「インターネット時代に対応するビジネスモデル特許戦略セミナー」です。このセミナーでは、特許の専門家であり、なかでも国内外のビジネスモデル特許の最先端で活躍中の講師をお招きして、受講者の方に「ビジネスモデル特許にどう取り組むべきか」の解答を見つけていただける内容です。

5.ビジネスモデル特許の調査に役立つ特許情報サイト



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