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2000.02【特集記事−本誌編集部より−】
環境経営時代が始まった!


 

2000年は環境経営の時代に突入した。つまり、環境マネジメントシステム構築ぬきにして、経営を語れぬ時代が来たわけです。新聞は、環境経営度をランキングにして発表。ゼロエミッション(埋め立て廃棄物ゼロ)工場達成や環境会計の作成などで評価されることが、いかに企業イメージを高め、株式の時価総額と高い相関性を持つかがわかってきた。このため、経営手法の中に、具体的に環境負荷の低減効果や、情報開示の必要性が組み込まれることになってきました。つまり、ISO 14000の審査登録は、企業活動に必須のものとなり、環境マネジメントが企業価値を決定する大きな要素になって浮上してきたといえましょう。
今後、企業は、ISO 14001の認証取得だけでなく、ゼロエミッション、化学物質の情報管理、CO2対策、環境会計による費用対効果、環境情報の開示等がクリアしなければならない項目です。

小センターでは、化学物質の情報管理に対応して「PRTRに基づく化学物質の安全管理」(東京大阪)を、環境会計による費用対効果に対応して「環境マネジメントシステム構築と環境会計入門講座」(東京大阪)を、環境情報の開示に対しては、「効果的な環境報告書のまとめ方」(詳細は47頁参照)をセミナーとして開催いたします。当然、開発設計の担当者は、できるだけ環境負荷の少ない材料を使い、リサイクル、リユースできる組立てにしておかねばならないわけです。「最新・環境適合材料設計マニアル」は、そのような、ご要望に対して、企画進行中です。
このような状況では、環境対策費用は膨大になり、下手をすると、経営を圧迫しないとも限りません。特に、企業活動の資金調達面から投資家への対応は重要です。また、企業内においても環境対策費用と効果、収益を明確化していく必要があります。企業によっては、環境会計ガイドラインを作り、経理伝票から環境関連の経営投資、収益項目が拾い出しやすい“エコ伝票”制度を採用するところも現れてきました。

先に述べたように、環境経営度と、経営評価指数の相関の深さから、経営者も、従業員も環境経営に関心を持たざるを得ないわけですが、環境パフォーマンス評価の企業の環境目的の設定のしかたを、誤らないようにしなくてはなりません。目標の設定には、自分の組織・企業にとって意味や価値の大きい目標や目的を設定することが大切ですが、ただ大きければ良いというものではありません。よくある例ですが、その組織にとって、本来それほど重要でない側面に目を向けて、目標・目的を設定し、莫大なエネルギーを投入、実質的にたいした結果を上げられなかったということが起こりえます。

目的や目標を設定するには、トップの達成したいビジョンがあって、それに沿った具体的な目的・目標が設定される必要があります。そして、それらを示す指標と評価基準がなくては、最終的な具体的ゴールがみえてきません。それにより、欠点、弱点もみえ、是正対象方法も明確になってくるわけです。

そのような指標の中の重要なものに、コミュニケーションの問題があります。環境コミュニケーションには、企業内の従業員、経営者とのコミュニケーション、対外的には、すべての利害関係者へのコミュニケーション、そして、環境パフォーマンスの報告書が含まれます。特に利害関係者へのコミュニケーションでは、こちらが提供したい情報を提する面と、逆に、相手が、受け取りたい情報を提供するという面があります。最初は、環境報告書の目的は情報の開示が目的でしたが、最近では、単なる情報開示ではなく、戦略的に、こちらの環境に対する物語を外に向って語りかけるツールだと考えています。インターネットのホームページによる情報提供、地域社会との定期的会合、プレスリリース、ニュースのリリースの配信等が考えられています。これらのトータルメディアミックスの戦略的活用が、環境経営度を高め、株価を引き上げることにもなると思われます。

最近、エコファンドという言葉をよく耳にしますが、エコファンドの明確な定義はありません。個人投資家が、限定銘柄に投資する際に、銘柄選定の基準として、環境面からの評価を加味している投信のことですが、本来、環境報告書やISO 14000が基準となるべきところ、現在はやや、イメージが先行しているというべきでしょうか?
このようなグリーンインベストメントが、一つの投資手法として使われ、エコファンドが女性層等も含めて人気になっていることは、まぎれもない事実ですが、企業としても、情緒、イメージ先行だとつき離すわけにもいきません。これらの背景には、社会的責任投資(SRI : Socially Responsible Investment)の考え方があり、企業の環境対応が、企業の倫理基準となってきており、コーポレートガバメントの要素に、全社的環境対応経営が求められている証拠ともいえます。

逆にいえば、企業の環境パフォーマンスが直接、企業の株価、すなわち、企業価値に影響を与えるということが明白になってきました。2000年が環境経営の時代に突入したといわれる由故です。金融機関の評価にも大いに関係してくると思われます。
では、最後に、効果的な環境報告書にまとめる、環境パフォーマンスには、どのようなものを考えればよいかというと、

 I.マネジメントに関わる定性的情報(方針・姿勢)

 II.定量的環境負荷削減情報

にわけられると思われます。もちろん、環境報告書の有無もIの定性的情報の1部です。この環境パフォーマンスが環境会計とリンクすることによって、企業にも、利害関係者にもメリットのある、環境マネジメントシステムが構築されるわけです。つまり、現代の企業経営にとって、ISO 14001環境マネジメントシステムは、不可欠の経営思想であるといえるでしょう。


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